テレビやラジオの受信に使用されるアンテナは、その種類や設置場所によってさまざまな形状があります。たとえば、屋根の上に設置されている地上波用の八木式アンテナ、壁面に取り付けられたデザイン性の高い平面アンテナ、またはベランダや室内に設置されるコンパクトな室内アンテナなどがあります。しかし、時代の変化とともに、こうしたアンテナが不要になる家庭も増えてきました。たとえば光回線やケーブルテレビ、インターネット配信サービスの普及によって、地上波アンテナを使わずともテレビが視聴できるようになったからです。
また、屋根のリフォームや建て替えをきっかけに、長年使っていない古いアンテナを撤去する家庭も少なくありません。不要になったとはいえ、アンテナは金属製の部品が多く、高所に設置されていた場合は破損や落下の危険性も伴います。そのまま放置しておくと、劣化による事故や景観の悪化につながるおそれもあるため、適切に処分することが大切です。安全性と環境への配慮を心がけながら、正しい方法で片付けましょう。
アンテナを処分するべきタイミング
老朽化して劣化が進んだとき
アンテナは屋外に設置されることが多く、雨風や直射日光、積雪などに長年さらされるため、経年劣化が避けられません。特に屋根上に設置された八木式アンテナなどは、金属部品の腐食やサビ、ボルトの緩み、接続部の断線といったトラブルが発生しやすくなります。見た目ではわかりづらい場合もありますが、テレビの映像が乱れる、電波の受信感度が低下するなどの症状が現れた場合は、アンテナ自体に不具合が生じている可能性が高いです。
,また、アンテナが傾いていたり、風で揺れるようになったりした場合は、倒壊や落下のリスクがあるため非常に危険です。こうした症状が見られたら、修理ではなく撤去・処分を検討するのが賢明です。事故や二次被害を防ぐためにも、老朽化を放置せず、適切なタイミングでの処分を心がけましょう。
テレビ視聴方法を変更したとき
インターネット配信サービス（Netflix、Amazon Primeなど）や光回線・ケーブルテレビの利用が一般化する中で、従来のアンテナを使って地上波やBS/CSを視聴する必要がなくなったという家庭が増えています。このようなテレビ視聴スタイルの変化も、アンテナを処分する一つのタイミングです。特に屋根やベランダに設置されたアンテナがそのままになっていると、使用していないにもかかわらず、定期的な点検やメンテナンスが必要となり、手間やリスクが生じます。
さらに、使用しないアンテナが視界を遮ったり、美観を損ねたりすることもあるため、生活スタイルに合わせて整理することは理にかなっています。不要になった機器を速やかに取り外すことで、住宅の外観や安全性を向上させるとともに、無駄な保守費用や管理の手間を減らすことができます。
倒壊や落下の危険があるとき
台風や地震、大雪などの自然災害が増加する近年、古いアンテナの倒壊や落下による事故も少なくありません。特に、屋根の上に設置されたアンテナは、高所にあるぶん強風の影響を受けやすく、倒れて隣家の屋根や車を傷つけてしまうケースもあります。また、倒れかかったアンテナが電線や太陽光パネルに接触し、火災や感電のリスクを生むこともあります。
アンテナが明らかに傾いていたり、固定している支柱やワイヤーが緩んでいたりする場合は、すぐに専門業者に点検を依頼し、危険と判断されたら早急に撤去・処分するべきです。放置することで周囲に被害を与えてしまえば、法的責任を問われる可能性もあるため、「使っていないから」と油断せず、安全面からも定期的に確認し、必要であれば処分を検討しましょう。
アンテナを処分する際の注意点
高所作業に伴う重大な危険性
アンテナは多くの場合、屋根の上やベランダの手すり部分といった高所に設置されています。そのため、撤去作業には必ず高所作業が伴い、転落や足場からの落下など、命に関わる重大な事故のリスクがあります。特に、傾斜のある屋根や老朽化した屋根材の上での作業は不安定で滑りやすく、専門的な知識と道具がなければ非常に危険です。また、作業中に工具を落下させてしまえば、下にいる人や車両、植木などに被害を与えるおそれもあります。そのため、DIYでの撤去は基本的に避け、専門のアンテナ工事業者や不用品回収業者に依頼するのが安全です。
自力で作業をする場合でも、二人以上で行い、安全帯やヘルメット、足場を必ず準備し、万全の安全対策を取ることが不可欠です。少しでも不安がある場合は無理をせず、専門家に任せる判断が自分や周囲の安全を守ることにつながります。
壁や屋根を傷つけるリスクに注意
アンテナは本体だけでなく、設置時に使われた支柱、金具、ビス、ワイヤーなどが建物の壁面や屋根にしっかりと固定されています。そのため、取り外し作業を雑に行うと、外壁の塗装をはがしてしまったり、屋根瓦を割ってしまったりする恐れがあります。特に、長年風雨にさらされて錆びついた金具やネジを無理やり外そうとすれば、素材ごと破損してしまうケースもあります。また、撤去後にビス穴がそのままになっていると、そこから雨水が侵入し、雨漏りや腐食の原因になることも。
こうしたリスクを避けるためには、アンテナ撤去後の補修作業まで視野に入れておく必要があります。専門業者に依頼すれば、撤去だけでなく必要に応じて屋根や壁の補修もしてもらえることがあります。費用はかかりますが、結果的にトラブルを未然に防ぎ、長期的に見ればコストパフォーマンスが高くなる可能性があります。
金属部品の扱いには十分な注意を
アンテナには、鋭利な金属部品や突起のある構造物が多く含まれています。たとえば、アンテナ本体のエレメント（放射部）は細く硬い金属でできており、撤去や解体時に手や腕を切ってしまう事故が少なくありません。また、支柱や取り付け金具も角が鋭くなっていることが多いため、手袋や作業着を着用せずに作業をすると非常に危険です。さらに、金属部品の一部には錆びや劣化が進んでいて、触れただけで折れたり崩れたりすることもあります。
撤去後のアンテナをそのままゴミ袋などに入れると、袋が破れて収集員の手を傷つける可能性もあるため、必ず安全な状態で処分できるようにしましょう。分解する際は、ペンチやドライバー、軍手、保護メガネなどを使い、安全対策を万全に整えることが大切です。不安がある場合は、無理に分解せず、回収業者や粗大ごみ回収に出すのが賢明です。
電波法など関連法令を確認しておく
アンテナの中には、地上波や衛星放送の受信用だけでなく、特定の業務用無線やアマチュア無線の送信用アンテナも存在します。これらは「電波法」に基づいた免許や登録が必要な場合があり、機器の使用や撤去にも一定のルールが課せられている場合があります。例えば、特定無線設備の登録が残っている状態でアンテナを第三者に譲渡した場合、不正使用とみなされる恐れもあるため注意が必要です。また、一部の古い機種では、機器の中にPCB（ポリ塩化ビフェニル）などの有害物質を含むコンデンサが使用されている可能性もあります。
こうした部品を含む機器の処分には、産業廃棄物としての取り扱いが必要になるケースもあるため、自治体や専門機関に確認することが重要です。一般家庭用のアンテナであっても、処分前に法的なチェックをしておくことで、後のトラブルや違法行為を避けることができます。
アンテナを処分する際の費用相場
自治体に処分を依頼する場合の費用相場
アンテナの処分方法として最も安価なのは、自治体の粗大ごみや不燃ごみとして出す方法です。アンテナの大きさや自治体のルールによって処分区分が異なる場合がありますが、基本的には「金属製品」として扱われ、粗大ごみとなるケースが多いです。処分費用の目安は1点あたり200〜500円程度と比較的安価です。ただし、自治体によっては事前に申し込みが必要で、指定された収集日にごみ置き場に出す必要があります。
また、屋根やベランダに設置されたままの状態では収集してもらえないため、自分で安全に取り外してから運搬する必要があります。これが難しい場合は別途業者に取り外しを依頼する必要があるため、その点を考慮すると費用と手間がかかることになります。自治体によっては処分できるアンテナのサイズや素材が限られている場合もあるため、あらかじめ公式ホームページやごみ収集課に問い合わせるのが確実です。
アンテナ撤去と処分を業者に依頼する場合の相場
屋根上に設置されたアンテナを自分で取り外すのが困難な場合は、専門のアンテナ業者や不用品回収業者に撤去と処分をまとめて依頼する方法が一般的です。この場合、費用は作業内容やアンテナの種類（地デジ、BS/CS、パラボラなど）、設置場所の高さや難易度によって異なりますが、相場としては撤去費用が8,000〜15,000円、処分費用が1,000〜3,000円程度です。合計で1万円〜2万円前後になることが多いです。
特に、屋根の急勾配に設置されていたり、錆や老朽化でアンテナの取り外しが困難なケースでは追加費用が発生する場合があります。また、業者によっては基本料金や出張費がかかることもあるため、事前に見積もりを取ることが大切です。複数の業者から比較検討することで、費用を抑えつつ信頼できるサービスを選ぶことができます。
状況別の費用目安（自力撤去・撤去依頼・複数本まとめて処分など）
アンテナの処分費用は、その状況によって大きく異なります。たとえば、自宅の庭やベランダに置いてあるだけの小型アンテナであれば、自分で自治体に不燃ごみとして出すことができ、処分費用も200円程度と非常に安価で済みます。一方、屋根の上に複数のアンテナ（地デジとBS/CSなど）が設置されており、同時に撤去・処分する場合は、2万円以上かかるケースもあります。
また、古い住宅ではアンテナの固定金具や支柱が建物と一体化していることもあり、その場合は補修工事やリフォームを伴うこともあるため、追加費用が発生することがあります。さらに、不用品回収業者に依頼して他の家電や家具とまとめて回収してもらうプランを選べば、1点ごとの料金よりも割安になることもあります。このように、処分の難易度や同時に処分するものの量によって費用は変動するため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要です。
アンテナの処分方法５選
自治体の粗大ごみとして処分する
アンテナを処分するもっとも基本的な方法のひとつが、自治体の粗大ごみ制度を利用することです。多くの自治体では、金属製の地デジアンテナや小型のパラボラアンテナなどを粗大ごみとして扱っています。申し込み方法は自治体によって異なり、多くの場合は電話やインターネットで事前予約が必要で、指定された日付にごみ集積所まで持ち運ぶ必要があります。処分費用は数百円程度と比較的安価で、コストを抑えて処分したい方に向いています。
ただし、自治体の収集では屋根や壁に取り付けられたままのアンテナは対象外です。つまり、あくまでも「取り外し済み」の状態でなければ受け付けてもらえないのが基本ルールです。自力で取り外すには高所作業が伴うこともあるため、ケガや転落などの危険があります。また、撤去に工具や知識が必要な場合もあり、無理をせず業者への依頼も検討すべきです。アンテナの大きさや材質によっても対応が変わる可能性があるため、まずは自治体の公式サイトなどで確認することが大切です。
電気工事業者やアンテナ業者に依頼する
アンテナの取り外しから処分までを一貫して任せたい場合には、電気工事業者やアンテナ専門業者への依頼が適しています。特に屋根や壁面に設置されている場合、自力での撤去は非常に危険であり、専門業者に依頼することで安全性が確保されます。業者は適切な工具と作業知識を持っており、建物を傷つけずにスムーズに撤去してくれるのが大きなメリットです。
費用は業者によって異なりますが、取り外し作業で8,000円〜15,000円、処分代込みで総額10,000円〜20,000円程度が相場とされています。設置状況やアンテナの種類（地デジ、BS、CSなど）によって追加料金がかかることもあるため、事前に見積もりを取ることが重要です。また、アンテナを撤去するタイミングで、ケーブルの引き直しや新しい受信設備への切り替えを同時に依頼できる場合もあり、住宅全体の通信環境を見直す良い機会にもなります。
信頼できる業者選びのポイントとしては、施工実績の確認、明確な料金体系、口コミなどのチェックが挙げられます。安心して依頼したい場合は、複数社の見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
フリマアプリやネットオークションで売る（パラボラなど一部対応）
地デジ用アンテナは中古市場での需要が低くなっていますが、BS/CS対応のパラボラアンテナや高性能な受信用機器については、フリマアプリやネットオークションで売れる可能性があります。特に設置から年数が浅く、動作確認が取れているものであれば、一定の需要があります。たとえば、戸建てから集合住宅へ引っ越した際に使わなくなったパラボラアンテナなどは、まだ現役で使いたい人が中古で探していることもあるため、意外と高値で売れることもあります。
販売価格は製品の状態やブランドによって異なりますが、数千円〜1万円前後で取引されることも珍しくありません。ただし、梱包や発送の手間がかかること、屋外使用によるキズやサビがある場合は価値が下がること、動作確認ができないと購入者とのトラブルになりやすいことなど、注意点もあります。また、フリマアプリの利用には販売手数料が差し引かれるため、実際に手元に残る金額はやや少なくなります。
売却を検討する際は、事前に商品の清掃や写真撮影、説明文の丁寧な記載など、買い手に安心感を与える工夫が大切です。また、「ジャンク品」として出品する場合も、状態を正確に伝えることで、後のトラブルを避けることができます。
リサイクルショップや中古業者へ相談する
リサイクルショップや中古家電・工具などを扱う専門店でも、アンテナの買取を行っていることがあります。特に、まだ使用可能なパラボラアンテナや屋内型アンテナ、録画用チューナーとセットの機器などは、状態が良ければ買取の対象になる場合があります。大手のリサイクルチェーン店だけでなく、地域の専門店や出張買取業者にも相談してみる価値はあります。
店舗によっては動作確認ができる機材でなければ買取不可とされることもありますが、未使用や箱付きで保管状態の良いものであれば、数百円〜数千円の買取価格がつくこともあります。逆に、錆びていたり破損していたりする場合は無料引き取り、または処分費用がかかることもあります。
出張買取に対応している業者もあり、手間をかけずに見積もりから搬出まで任せられる点は魅力です。ただし、他の商品とセットでの査定になることが多いため、アンテナ単体では金額がつきにくいケースもあります。買取を前提とするなら、事前に複数の業者に問い合わせを行い、見積もりを比較するのがベストです。
不用品回収業者にまとめて処分してもらう
アンテナをはじめ、ほかにも処分したい家具・家電や雑品がある場合は、不用品回収業者にまとめて依頼する方法が便利です。アンテナ単体で依頼するよりも、複数の不要品を一括で処理できるため、引っ越しや家の片付け、遺品整理のタイミングに向いています。現地で回収・積み込みまでしてくれるため、自分で運び出す必要がなく、高所からの取り外しにも対応可能な業者が多いのも魅力です。
費用の目安は、軽トラック1台分で15,000〜30,000円前後、アンテナ1点のみであれば5,000〜10,000円程度が相場です。もちろん、アンテナの取り外しが必要な場合や作業に時間がかかる場合は、追加費用がかかることもあります。ただし、料金体系が業者ごとに大きく異なるため、事前の見積もり確認が必須です。
不用品回収業者の中には、悪質な業者も存在し、「無料回収」と謳って後から高額請求するケースもあるため注意が必要です。許認可の有無（産業廃棄物収集運搬許可など）を確認し、口コミや評判をよく調べてから依頼しましょう。便利さと引き換えに費用がやや高くなりがちなため、価格とサービスのバランスをよく考慮することが大切です。
アンテナの処分は不用品回収いちばんの利用がおすすめ
今回はアンテナの処分方法について解説しましたが、いかがでしたでしょうか？
アンテナを処分するにあたり、他にも不要になった品を大量に処分したい場合は、不用品回収業者を利用することを検討してみてください。不用品回収業者は、大型小型問わず他の不用品をまとめて引き取ってくれるため、処分方法を考えずにまとめて処分することが可能です。
優良不用品回収業者の選び方は？
不用品回収業者を選ぶ際には、以下のポイントをチェックしておくとスムーズに処分が進みます。
- 対応エリアの確認
希望する地域に対応しているかを確認しましょう。全国対応の業者や地域密着型の業者があります。 - 料金の透明性
事前に見積もりを取って料金体系を確認し、追加料金が発生しないか確認しておくことが重要です。 - 口コミや評判
インターネット上のレビューや口コミを参考にし、信頼できる業者を選びましょう。実績や評判が良い業者は安心して依頼できます。 - 対応スピード
急いで処分したい場合は、即日対応してくれる業者を選ぶと良いでしょう。対応の速さは重要なポイントです。 - 保険の有無
万が一の事故やトラブルに備えて、損害補償保険に加入している業者を選ぶと安心です。
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